夏奈ちゃんは夏奈ちゃんで楽しんでいるみたいだし……、それなら、と思い浅野くんに向き直った。
「ぜひ!」
「よかった、断られなくて」
私の答えに、浅野くんはほっとしたように笑った。
それからクラスメイトの話とか、休日には何をするかとか、他愛ない話をしていたんだけれど……
しばらくして、
「ちょっと聞いてもいい?」
首を傾げながら浅野くんが突然そう言って。
「えっと……何を……」
「早坂と食材もらって帰ってきてからずっと気になってたんだけどさ、……そのパーカー、光希が着てたヤツだよね?」
私が着ているネイビーのパーカーを指差して確認する。
「あ………うん、そうだよ」
考えるまでもなくその通りだったから、私は素直に頷いた。
すると、一瞬目を伏せた浅野くんが、どこか苦しそうに口を開いて、
「…………なんで、花岡が光希のパーカー着てんの?そんなに仲良いの?そういえば、花岡、光希のこと知ってたよね?光希も花岡のこと知ってたみたいだし………。2人はいったいどういう関係?」
矢継ぎ早に投げかけられた質問。
それらに頭が上手くついていかない。
他愛ない話をしていたときの穏やかな笑顔とは違った、少し真剣味を帯びた浅野くんの表情に肩がビクッと跳ねた。
どうしよう。
………少しだけ、ほんのちょっとだけ、怖い、かも……。



