言い聞かせるような口調に押され負けて、しぶしぶパーカーに腕を通した。


………昔はあんまり変わらなかったのに、いつからこんなに体格差が広がっていたのかな。

みっくんのパーカーは私にはブカブカすぎてジッパーを上まであげなきゃ、とてもじゃないけど着られない。



そして、それより何より動揺したのはパーカーに僅かに残ったみっくんの体温と香り。

………って言うと変態みたいだけど、そういうことじゃなくて!




昔から、みっくんの側がいちばん落ち着く場所だったの。

私より少し高い体温と、香水をつけないみっくんの服から香る………たぶん、柔軟剤かな。


よく憶えているそれらに、久しぶりに包まれて懐かしくて、なのになんだかドギマギした。



「ありがとう………」



胸がいっぱいになって、それだけしか言えなくて。


みっくんがそんな私に口を開きかけたとき───



「ただいまー!!」

「ほんっと、私のこと何だと思ってるわけ?普通、もうちょっと浅野が持つべきじゃない?」



食材を取りに行ってくれていた浅野くんと夏奈ちゃんが口論しながら戻ってきた。