みっくんは、その日から、
一緒に登下校してくれなくなったんだ。




…私とみっくんは、幼稚園から中学校まで、ずっと、ずっと一緒に登下校してた。



幼稚園のときは、2人でママたちのお迎えを待ちながら遊ぶのが楽しかった。




小学校のとき、帰り道の途中にある駄菓子屋さんのおばあちゃんに、


『今日も仲良しねぇ』


って言われるのが嬉しかった。




中学校にあがって、テストの成績が悪かった私を笑いながらも慰めながら一緒に帰ってくれる、その時間が大好きだった。




……毎朝家の前でみっくんが待っててくれるのが、嬉しかったのに。




『俺、彼女できたから』


『うん、知ってるよ?おめでとうねっ』


『だからさ、』


『なぁに?あっ、帰りながら話そうよっ』


『帰らねーよ』


『え…?』


『帰らねーっつってんの。朝も帰りも、おまえとじゃなくて彼女と帰るから』


『みっくん……?なに言ってるの……』



『もう、おまえと登下校なんてしたくないっつってんの。…それに、その “みっくん” って呼ぶのいい加減やめろ』


『ちょ、ちょっと待ってっ、いきなりすぎだよ、そんな……』



『じゃあな』



あの日は、ショックで眠れなかった。