「……くそっ、彼氏持ちかよ……!」
そんなみっくんに、その人は捨て台詞を吐き捨てて、すごすごとどこかへ行ってしまった。
「あ、ありがとう……みっくん」
私が困ってるのに気づいて、助けてくれたんだよね。
やっぱりみっくんは、私のヒーローだ。
お礼を言った私に、みっくんはため息をついた。
「………なんで今日に限って俺より早く来てるの」
今日はみっくんとデート。
初詣に一緒に行ったきり、なかなか休日の予定が合わなくて、実はこれが初デートだったりする。
だから、今日はみっくんより早く来て待っていよう、と思ったのに……。
「だめだった?」
「今度から俺より早く来るの禁止」
えええ。
遅く来たら来たで、『遅い』なんて文句を言うくせに………理不尽だよ。
みっくんは、彼氏になってからも、こんな風にわかりにくいところがたくさんある。
うーむ、と考え込んでいると、
「それから、やっぱり今度からは待ち合わせは家の前がいい」
みっくんがまた言う。
そう、いつもみっくんと出かけるときは家の前で待ち合わせなんだけど……。
デートだから、離れたところで待ち合わせをしてみたくて。
わがままを言って、今日は駅前で待ち合わせにしてもらったんだ。