お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


私が呟くと、夏奈ちゃんの表情がパァッと明るくなった。


「そうそう、その意気!」


……その様子だとなんだか、夏奈ちゃんが私に水着を着せたいだけのようにも思える。


でも、たしかにさっき夏奈ちゃんが言っていたことにも一理があるから。


───みっくんが知らない私……かぁ。


私は、[私の知らないみっくん]に気づいたとき、少し寂しいと思ったけれど、みっくんはどうなのかな。

同じように思ってくれたらいいのにな。



*



「トマトとモッツァレラのパスタと、ミニのオムライスになります〜」


ウェイトレスさんの声に、考えていたことなんてそっちのけでオムライスに目が釘付けになった。

あ、パスタは夏奈ちゃんが頼んだもので、オムライスは私が。


この店のオムライスは、卵がふわっふわで大好きなんだ。


「ひまり、それだけで足りるの?」

夏奈ちゃんが、訝しげに聞いてきた。