「やっぱり？……それで、私が考えた作戦なんだけど！」
夏奈ちゃんの、“作戦” という単語に思わず身を乗り出した。
すると、
「……ひまり、真剣さは伝わってくるんだけど、近いよ」
「ご、ごめん」
どうやら乗り出しすぎてしまったみたい。
慌てて、身体を引っ込めた。
仕方ないよ。
だって、“みっくんと元通りになる作戦” なんて、知りたいに決まってるんだもん。
「それで、その作戦なんだけどね。ひまりたちって、幼なじみじゃん」
「うん」
「だから、お互いのこと、ある程度までは知ってるんでしょ……？」
「……うん」
夏奈ちゃんの言うとおり、みっくんのことなんて飽きるほど知っている。
……ふとした癖とか、好きなものとか、苦手なものとか。
でも、 “ある程度” まで。それもたしかに夏奈ちゃんの言うとおりで。
……だって、最近のみっくんが考えていることなんて、全くわからない。
みっくんが、どうして私を避けるのか、とか。
私と他の女の子の、どこがそんなに違うのか、とか。
そんなこと、私には全然わからない。
