〖光希side〗


すーすー……と、俺のベッドの上で寝息を立てているのは、ついさっき俺の目の前で倒れたひまり。



ほんっと心臓止まるかと思った。




ぼーっと宙を見つめていたから、どうしたのかと思えばいきなりフラッと倒れるから。



咄嗟に抱きとめた自分の瞬発力の良さに、これほど助けられたことはなかった。




抱きとめた身体も、かすかに漏れる吐息も熱く火照っていて。


………熱あるのかよ……。




状況を理解した俺は、そのままひまりを俗にいう “お姫さま抱っこ” とやらで家に連れて帰り、



母さんに事情を説明し、
ひとまず俺の部屋で寝かせているというわけ。




ひまりが眠るベッドを一瞥して、俺は、はぁ、とため息をついた。



………数日前から引きずっている苛立ちは収まるところを知らない。