「だって、おかしいじゃん!ひまり、棚橋くんにも好き好き言ってるんだよね?」
「う、うん……」
夏奈ちゃんが、私を抱きしめていた腕を離して、今度は私の肩に手を置いて私を揺さぶる。
あまりの勢いに、目がチカチカしながらも頷いた。
「はぁー……。こんな可愛い幼なじみにすり寄られて、避けることができるなんて、棚橋くんの神経を疑ってしまう……」
「か、可愛いなんて、そんなこと言ってくれるの夏奈ちゃんくらいだよ!……みっくんは、昔から私のこと、“ちんちくりん” としか言わないし……」
私の言葉に、夏奈ちゃんが、バツが悪そうに苦笑した。
……きっと、“ちんちくりん” という単語から “あの日” を思い出したんだろう。
「………ま!とりあえず、買い物しなきゃね!そのために、朝早く来たんだし!」
「そうだね……買うものいっぱいあるしねっ」
私がそう返すと、夏奈ちゃんが目に見えてげんなりした。
そう、買わなきゃいけないものが多すぎるのだ。私も、臨海のプリントを見てびっくりしたもん。……あまりの持ち物の多さに。
それに、中学生まで使っていたものでも、さすがに高校生が使うには……っていうものもあるし。



