ずっと一緒にいたから、なんでも知っている気になっていたけれど、本当は全然なんだ。
ふと、夏奈ちゃんが言っていたことを思い出す。
────みっくんに本命の好きな子がいるかもしれない、っていう話。
思い出すだけで胸が苦しいけれど、それより。
結局、私はみっくんの大事にしているものとか、よく知らないんだな……って。
そういえば、将来の話とか、進路の話とか。
よく考えればしたことなかったかも……。
みっくんの将来の夢、か………。
いつか、いつか、聞かせてくれる日が来るかな。
みっくんが教えてくれれば、私は絶対応援するよ。
私がうんうん、とひとりで決意しながら頷いていると。
みっくんが言いにくそうに口を開く。
「あのさ……」
「?」
みっくんが何を言い出そうとしているのか、皆目見当もつかなくて。
首を傾げると、みっくんはぐっと苦しそうに眉を寄せて。
「ごめん」
唐突すぎる謝罪の言葉に面食らう。
「へ…………」
「文化祭の日。……勝手に連れ出して、勝手に責めて、置いて出て行って……ごめん」
みっくんの言葉に、文化祭の日の出来事がフラッシュバックした。
でもあれは………
「ち、違うよ!みっくんは謝らなくてよくて、謝らなきゃいけないのは私の方で………怒らせちゃってごめんなさい!!」
ばっ、と頭を下げると、みっくんは私の言葉を否定する。
「おまえに怒ってたんじゃねーよ。あれは、俺の勝手な事情だから。………妬いて、イライラしてただけ」
最後の言葉はよく聞こえなかった。
………けど、私のせいじゃないとみっくんが本気で思っていることは伝わってきた。
私はほっと胸をなでおろした。
「ずっと謝ろうと思ってた」
みっくんの言葉に首をぶんぶんと横に振る。
謝らなくていいよ、だって私、どんな形であれ嬉しかったの。
文化祭の間、少しでもみっくんといれて────。



