「本気で好きになった、たった一人の女の子がいて」
「っ、」
「その子に向き合うために、他の女の子たちと別れた……って考えるのが自然じゃないかな」
うんうん、と頷きながら言う夏奈ちゃん。
「そう、だよね……」
私はというと、ぎこちなく微笑みながら返事を返す。
「え、ひまり?なんで、そんなに落ち込んでるの!?」
「だ、だって……」
だって、みっくんの本命の女の子ってどんな子なのかな、とか考えちゃうよ。
すっごく可愛い子なのかな。
優しい子かな。
もしかして、頭が良い子?
考えだしたらキリがなくて。
「あっちゃー……、ひまりって本当に鈍いよね?ひまりを喜ばせようと思って言ったのにな~……だって、」
鈍い………?
わ、わからない。いったい何の話?
だって、の先が気になったけど、夏奈ちゃんはその先を教えてはくれなかった。
「や、ひまりは気にしなくていい!!とりあえず、ひまりにもチャンスがあるってこと!だから、頑張って!」
誤魔化されたような気がしないでもないけれど、私は素直に頷いた。
「う、うん!」
そう、今みっくんは誰の彼氏でもなくて。
アタックするなら今だよね!
だから落ち込んでる場合じゃないよ!
沈みそうだった気持ちを、なんとか持ちこたえる。



