あとね!
注目してほしいのは足元。
かかとの高いミュールを履いてるんだよ。
デザインもパステルカラーとリボンが可愛いし、なによりかかとが高い。自分が持っている靴の中では2番目に高いんだ。
……本当は、1番高い靴をいつでも履いていたいんだけど、それは秋冬用だから。
「にしても、ひまりって、その靴履いてこの高さかぁ……」
夏奈ちゃんが私の頭の一番上の位置を手で示す。……それは、かかとのないサンダルを履いている夏奈ちゃんのちょうど首ぐらいの位置で。
「……ずるい」
思わず声に出してしまった。
私は、学校以外で外出するときは、たいていかかとの高い靴を履くようにしているんだ。
もちろん、低い身長をごまかすためなんだけど。
……ちょっとでも、周りとの差を縮めるためでもあるんだ。
じゃなきゃ、ずっと見上げて喋らなきゃいけないんだもん。目線を合わすのにも一苦労なんだから。
切実に恨んでしまう。……自分の身長の低さを。
「いやー、私からしたら羨ましいよ?だって、私がかかと高いの履いたらヨユーで男子の背超えちゃうからね」
「それがずるいのっ」
むっと、唇をとがらせると、夏奈ちゃんが肩を震わせて笑う。



