「もうやめにしよ!思い出すのは!」
夏奈ちゃんの言葉に激しくうなずいた。
……だって、思い出してもお互いが恥ずかしさでいたたまれなくなるだけだもん。
「そーいえばさぁ、ひまりに聞きたかったことあるんだよね」
「んー?なぁに?」
夏奈ちゃんのその口ぶりじゃ、
結構前から聞きたかった、って感じがする。
「ひまりって、どーしてそんなに棚橋くんの彼女になりたいの?」
なんだ、そんなことかぁ。
……そういえば、みっくんに避けられ始めてからずっと夏奈ちゃんにアレコレ相談してたけど、理由は言ったことなかったのかな。
「みっくんと前みたいに、仲良くしたいの。……一緒に登下校したいし、話したいこといっぱいあるし、名前でもう一度呼んでほしいし…いちばんは…みっくんの笑顔が見たい、から」
そう言うと、夏奈ちゃんは肩をすくめた。
「じゃあ、棚橋くんの大勢の彼女の中の1人でもいいってこと?」
「うん」
「……どうして、そんなに “彼女” にこだわるの?」
だって、みっくんは。
「みっくん、彼女には優しいんだって。……私も見たもん。だから、彼女になったら、またみっくんと仲良くできるんじゃないかなって思うの」
……幼なじみがダメなら、彼女になるしかないよね。



