お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


その日の帰り、夏奈ちゃんが、どうしてもみっくんにもう一度謝りたいって言ったから、急遽3人で帰ることになった。


私に友達がこんなにすぐにできるわけがないって思っていたのか、みっくんは少し驚いていたけど、夏奈ちゃんを見て納得していた。


そして、改めて夏奈ちゃんが謝ると、みっくんは優しく返していて。


……このとき、夏奈ちゃんのみっくんへのイメージは、“怒ると怖いひと” から “優しい王子キャラ” に変わったみたい。

第一印象のイライラしてるみっくんを忘れたわけではないらしいけれど。



まぁ、みっくんは、基本優しいからね。



このときは、これからの高校生活が楽しみだった。みっくんとクラスは離れてしまったけれど、夏奈ちゃんという友達ができて。



……その代わり、この後すぐにみっくんと疎遠になってしまったんだけれど。


*


「おーい、ひまりー、帰ってこーい」


目の前に夏奈ちゃんの手のひらのドアップ。

「わっ……!」

「『わっ……!』って…。いきなりボーッとしだしたから、ビックリしたよ」

「夏奈ちゃんとの出会いを思い出してたんだよ」


この話になると、夏奈ちゃんはいつも真っ赤になってしまう。


「……早く忘れてよ、あんな勘違い恥ずかしすぎる……」

「私だって、転んだの知られて恥ずかしかったよ……!」