お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


『ひまり……?もしかして私と一緒で夏生まれ?!』

『え……どうしてですか?』


夏生まれじゃ、ないけど……。


『ひまりって、ヒマワリからなのかなって!』

『あぁ……よく間違われるんですけど、実は、私の “ひまり” は、“ひだまり” の “ひまり” なんです…』


だから、夏生まれなんかじゃなくて、春の3月。
だから、最近やっと15歳になったばっかりなの。


『へーそうなんだ!なんか、雰囲気にピッタリな名前!私はね、夏生まれなんだー。だから夏奈の “か” は、夏(ナツ)って書くんだっ』

『それこそ、ピッタリな名前ですっ……!』

私がそう言うと、

『それそれ、敬語なんか使わずに、タメでいーよ!…あと、夏奈って呼んでね!』


そう言って夏奈ちゃんは、ニコッと笑った。
それこそ、まるでヒマワリのような人懐っこい笑顔。

つられて、私まで笑顔になって。


『う、うん……!じゃあ……夏奈ちゃん?』

『私も “ひまり” って呼んでいー?』

『全然っ、全然いいよ!』

『やったっ!入学早々可愛い友達ゲットー!』

可愛い……なんて、嬉しいけど……。
夏奈ちゃんのほうが、キラキラしてて可愛い。

それに、明るくて……
一緒にいるだけで、楽しくなれそう。



『私、初めて会ったときから思ってたんだよねー、すっごく可愛いなって!それに、私、このクラスに同じ中学の友達いなくて………だから、友達ができてホッとしたよー』


ううん、そんなの私の方が。

夏奈ちゃんだったら、きっと、友達をすぐに作れるようなタイプだと思うけど……私はてんでダメだから。

昔から人見知りがはげしくて、仲良くなれないわけじゃないけど人一倍時間がかかる。

みっくんが違うクラスだから、もうダメだ……って思ってたところだったけど、夏奈ちゃんが声をかけてくれて本当に良かった。