……つぅか、“寝ても覚めても冷たい” ってなんだよ。
どいつもこいつも、何かある度にそればっかり。
『光希って、打ち解けると冷たいな』
……なんて、似たようなことばかり言ってくるけれど。
別に敢えて冷たくしているつもりはない。
ガタンッと車両が揺れて止まった。
今日は臨海の3日目で、全ての日程が終わり、帰りのバスの中にいる。
「利樹(トシキ)。置いてくぞ」
バスが停まってクラスメイトがぞろぞろと降車していく中、未だに寝ぼけている隣のそいつに半ば本気で言うと、
「っあ"────!!俺も女に生まれたかった────!!そしたら光希に優しくしてもらえんのに!」
利樹は叫びながら立ち上がる。
………うるさい。
バスを降りながら考えた。
どうやら、俺は、女に優しいらしい。
………無意識なんだけど。
自分ではそんなつもりもないのに、俺を取り巻くヤツらは皆そう言うからきっとそうなんだろう。
……でも、そうなった理由はなんとなく検討がつく。