「翔、そんなに華に触れたかったのか?」

あずさがクスリと笑っていった。

「別にそういう訳じゃない。ただ、お前に彼女を預けるのが嫌だっただけだ。」

恐らく真顔で言った翔は、そう言ってのけて私を抱きなおした。

「まあお前、俺の恋敵だもんな。そう思うのは当たり前か。」

「当たり前だ。」

*****

今、確かに彼らはこんな会話をした。

コイガタキ。

こいがたき。

恋敵。

その言葉を聞いた瞬間、私は翔の腕からふりおろされた。

いや、自分からふりおりたのである。

ドサッという耳につく音とともに私は地面へ転げ落ちた。