見間違いだろうか。

あの彼がこんなところにいるはずはない。

金持ちなのは確かだけど、それでもそんなはずはないと信じたかった。

そんな自分を信じていた。

それでも目の前にいるのは私が知っている翔だった。

「・・・なんで・・・」

「知り合いか?」

あずさがどこか不満げに言う。

「なんでここにい・・・」

問いただそうとしたその言葉は急に遮られ、水浦翔はさらりと言ってのけた。

「ボディーガードのお二人ですね。よろしくお願いします。」

「はい。どうぞ、よろしくお願いいたします。」

浅めに頭を下げたあずさに慌てて私もならう。


だがそれでも頭の中は晴れなかった。