ガード

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分かったと返信して数秒後、私のスマートフォンが、私の心とは裏腹に爽快な音楽をかなで始めた。

カチカチの顔で電話に出る。

「・・・もしもし。」

こうも緊張するのか。

あずさと話すときはこれほどの緊張はしないのに、こうも緊張するものなのか。

「もしもし、俺だけど。」

「知ってる。」

つい不愛想に返してしまう。

「・・・久しぶり。」

「久しぶり。元気だった?」

「ああ。前略した事、よくわかったな。」

「・・・。」

「まあいいや。少し長くなるけど、聞いてくれ。」

「わかった。」

「俺、小さい頃から会社経営する父親に育てられてきたんだ。」

「うん。」

「父親は、『お前は一般人じゃないから人の左にいることは許さない』って感じの人かな。」

「うん・・・?」

「言ってもわかんないよな。
簡単に言えば、常に人の前を歩いていろということらしい。」

「うん。」

「俺にはそれが本当に苦痛だった。」