彼は自らをそう名乗った。

慌てて私も自己紹介をする。

「私は華です。山田華。仕事はボディーガードをしています。」

「へえ、ボディーガードですか。かっこいいですね。僕は・・・家業手伝いといったところでしょうか。」

・・・家業手伝いであんな大きな車に乗れるか。

そうツッコミたくなるような発言だったが、彼の家が財閥とでもいうのならうなずけよう。

「おいくつですか。」

会話が途切れたので、今度は私から口を開く。

「今年で23になります。昨年大学を卒業したばかりなんです。」

「そうですか。私も23です。奇遇ですね。」

そこでまた話のネタが尽きた、と言いたいところであったが、数秒間の沈黙のうちに彼が「なんだ、」と口を開いた。

「同い年ならそんなに気兼ねする必要ないですね。俺のことは翔でいいです。」

「じゃあ私も華で。」

そうは言ってみたものの、私自身、早すぎる展開に若干し引いていたのである。