階段を下りながら、溜め息をつく。


会えば会うほど、話せば話すほど、どんどんいっちゃんへの好きが募っていく。

いっちゃんは幼なじみだから。

だから、私に優しくて。
だから、素も見せてくれる。

ただそれだけ。


ちゃんとわかってる。
わかってはいるけど、止められないんだ。


だから、せめて。

誰にも知られず、ただ想ってるだけにしよう。


いっちゃんとはこのままの関係で良い。

幼なじみのままで構わない。

だって、それでもいっちゃんの傍に居られるもん。
少しはいっちゃんの特別になれてる気がするし。


「・・・彩ちゃんと悠里ちゃん、気づいてないよね」


幸せと、切なさと、ちょっぴり不安と。

いろんな気持ちを抱えながら、私はカラオケへと足を急がせた。