バタバタッ!
え!?なに!?
私は部活で片付けをしているはずだった。なのに、この状況どういうこと!?
「ちょっと黙ってろ!」
突然私の視界を遮ったのは学校一のイケメンと呼ばれている佐賀(さが)くんだった。
「どうしてこんなところに…」
…いるの?と聞こうとしたら佐賀くんの大きな手が私の口をふさいだ。
「だから、黙ってろって。」
「あれー?体育館入ったよねー?」
「あっちかなー?」
バタバタッ!
あー。なんだ。女の子から逃げてたのか。
でも、この状況。どうしよう。喋れないし、周りにはいろんなものがあるから、狭くて近いし。
「佐賀ふん。ほれ、どへて。」
「あ?…あ、わりい」
手が離れて私たちの間に少しの隙間ができる。
…ここから出よう。でも、ここ、狭すぎる。
ガチャガチャ!
え、え、え、待って!まだいます!
「おい、お前、うるさい。」
なんでそんなに余裕なの!?私達閉じ込められたんだよ!?
「わめいてもどうにもなんねぇだろ。明日になれば誰かくるって。」
いやいや、私はこんなくっさい倉庫であんたみたいな人と一緒に朝を迎えたくないの!
「ほう。俺のこと何にも知らないくせによく言うよ。」
「…知りたくもない!」
あー!ムカつく!
どうにかしてここから出る方法探さないと…
あ!窓!
「窓から出られるかも!」
「はぁ?無理だって。あんなちいせぇの。」
問題は上側にあるって言うことなんだよなぁ。
棚やカゴを使って上まで登っていく。
「おい。危ねぇって!」
もうちょっと!あと2センチ!
あっ!
その瞬間左足がかかっていた棚が外れ、私の体は重力に従って落ちていく。下は砂まみれのコンクリート。
「っいってー」
目を開けた時、私の下にあったのは硬いコンクリートではなくて…佐賀くんの体だった。
「おい、そろそろ降りろ。」
「ご、ごめん!」
思いっきり落ちたからかすぐに立ち上がることができなかった。
「お前、ちいせぇのに重いんだよ。」
「うるさい!」
あぁ。ありがとうって言うつもりだったのに全然違う言葉が出てくる。
「はぁ!?助けてやったのにその口の聞き方はねぇだろ。」
「ごめん…ありがとう。」
今にも消え入りそうな声でお礼を言う。
「あ?聞こえないんだけど?」
ドキッ!
ただでさえ狭い倉庫で身を乗り出してきた佐賀くんはすごくカッコよかった。
やばいかも…
「…///もういい。こっから出る方法考えんぞ。」
あれ?心なしか佐賀くんのほっぺが赤い。
「もしかして、照れてる??」
「はぁ!?照れてねぇよ!こんな狭いところに2人もいりゃぁ暑いだろ!」
照れている佐賀くんをもっと見たくなって顔を覗き込む。
「…何、お前、襲われたいの?」
え!?///
そう言われて心臓の音が大きくなっていく。
「図星??」
「ち、違うよ!そんなんじゃない!佐賀くんだって襲いたくないでしょ!」
「…うーん。どうだろ。男ってそうゆうもんだから。」
うわ。最低…
「…まぁ、好きな女、襲うやついねぇから安心しろよ。」
!!!
「い、今なんて?」
昨日まで全然知らなかった人に、しかもかなりイケメンに告白された?
「だから、俺は、お前が好きなの。前から。ここに入ったのもお前が体育館いる知ってたからだし。」
え?どう言うこと?
「委員会の集まりの時、前で発表するみたいな時、胸張ってしゃべっててすげぇなって思ったんだよ。あの日からお前のことみるとなんか気になって、話す機会見計らってた。んで、それが今日。女はいつも俺のことみると告白だの何だの言い出すのに、お前はそうじゃなかった。」

「俺と…付き合ってください!」
!!!
どうしよう。すっごく嬉しい!
全然知らなかった人だけど、
「私のことずっとみてくれてたとか言われたら好きになっちゃうじゃん。」
「え!じゃ、じゃぁ、…」
「うん。こちらこそよろしくお願いします。キャッ!」
そう言った瞬間抱きしめられた。
「…幸せすぎてなにいえばいいかわかんねぇけどとりあえず好き。大好き。」
…///
倉庫の中はもうサウナのように暑かった…ように感じた。

~END~