「え?」
ある朝のこと、私は隣の家の前にいた。
「売却?」
「あー、お隣さん?それならアメリカに行くとかで引っ越して行ったよ?知らなかったんかい?」
「え!?それ本当?ミキエおばあちゃん!?」
「あぁ。それよりあんた、学校遅れるよ。」
「あ、う、うん!ありがとう!」
そんな…はず…ない…すばるが私になにも言わずに消えるなんて…
「え?すばるくん?アメリカでしょー?いいよねぇー…私もついて行きたかった!笑」
「ていうか、浅江さんなにも聞いてないの?幼馴染なんでしょ?」
う、うん…そのはずだったんだけど…
「みさ!」
「すずちん…すばる…」
「あー…今日かー…」
「え?すずちん知ってたの?すばるがアメリカ…」
「うん…ごめん!みさ!すばるくんが黙ってろって…」
そっか…それって…私に言ったら面倒なことになるから?色々聞くから?答えたくないから?あぁ…もう、わかんないよ…
ただいまぁー…って誰もいないか。
ガラッ
いつもなら灯りの灯ってる窓は暗いままでもうすばるはいないんだって実感する。
「みさ?大丈夫?」
とっさに窓を閉めてベッドに入る。夕飯いらないって言ったから心配してるんだ。
「ねぇ、お願いだから何か食べてくれない?もう、3日もその状態でしょ?」
そう、私はショックすぎてずっと3日間学校にも行ってない。最初は本当に頭が痛くて休んだけど今はもうただの仮病。
「いいの。わたしにはすばるしかなかったから。もう、いいの。」
「はぁ…やっぱり言えばよかったわね。どうしても言うなってすばるくん必死だったから。」
なんで?なんでそこまで私に教えてくれないの?わからないよ…
ーそれから2年ー
私は空港にいた。おさまってたすばるへの疑問がまた頭に浮かんできたから。受験生なのに…
「ねぇ。なんでよ…ずっと一緒にいたのに、なんで私にだけ教えてくれないの?」
そんな言葉が口から吐き捨てるように出てくる。
好きだったのに、大好きだったのに…
「すばるのばかーーー!」
「おい!声がでけぇんだよ!ちびすけ!」
え…?私のことをこの変なあだ名で呼ぶのはすばるしかいない…でも、ここにいるわけ…
ギュッ
「ごめん。みさ。何にも言えなくて。お前には最後まで笑ってて欲しくて、泣き顔なんて見たくなくて言えなかった…」
なにそれ…私一人でいじけて子供みたいじゃん…
「遅いよ…ずっと待ってたのに…」
「もう、俺のこと好きじゃなくなった?」
「そんなわけないでしょ…バカ///」
「なんでここにいるの?」
「みさに会いたくなったから。」
「ねぇ…まじめに答えてよ。」
「親が一旦帰ろうって。」
そうなんだ。
「どうした?」
せっかく会えたのに…また行っちゃうんだ…
「親はね。」
え?
「俺はついて行くとは言ってない。」
そ、それじゃぁ…
「まぁ、ちびすけが一生懸命お願いしてくれたら考えるかな。」
「…」
「冗談だよ笑俺はお前のとなりにいるって決めた。もう、何があってもお前と一緒にいるよ。」

END