私は、バスケ部のマネージャ-である。

でも、今、いろいろとうまくいってない。

顧問にはマネージャーとして仕事がなってない!!って怒鳴られるし、
部員のみんなには仕事手伝ってもらったりして迷惑をかけてる。

一週間後には夏の県大会で、試合に集中してもらわないといけないのに・・・

「三枝木(さえき)!ボール行った!!」

「はーい!!」

転がってきたボールを拾い上げ、駆け寄ってきた堂本(どうもと)先輩に渡す。

ふいに目が合って何秒間か見つめ合う。

「なんか、悩んでるでしょ?」

え?なんでわかるの?

「そ、そんなことないですよ?」

自分の気持ちに気づかれたことに恥ずかしくなって目をそらす。

「嘘つけ。お前の事いつも見てるから元気ないことくらいわかるんだよ。」

・・・いつも見てるって///

「県大会、優勝するし、お前はちゃんと俺らの力になってっから。
あんまし悲しい顔すんなよ?俺、マジで心配するから。
お前が元気ないと俺もやる気でない。」

そう言いながら頭を優しくポンポンとたたいた。

ずるい。

「先輩、顔、近いです。」

「あぁ。こうでもしねぇと目合わせねぇだろ?」

その時、鼻先に唇が降ってきた。

・・・な!!///

「部活終わったら待ってろ。」

先輩って意外と俺様系男子なんだな。

部員みんなの性格とか把握してるつもりだったけど、
まだ知らないところもあるなぁ。

~部活終わり~

部室に来いとメッセージが送られてきて、部室に向かう。

先輩にメッセージもらうのなんていつも事務的な事ばっかだからいつもと違う感じで何倍もうれしかった。

あぁ、私って先輩の事好きだ。

そう思いながら部室のドアをノックする。

「よう。」

中からのぞいたのは制服に着替え終わった堂本先輩だった。

部活着もいいけど、制服もかっこいい。

男子の夏服はワイシャツ一枚でネクタイをつけることになっている。

ワイシャツの上からでもわかる筋肉質な体。

すごい頑張ってここまでになったんだろうな。

「座れよ。」

そう言って自分の座っているベンチの隣をたたく。

ベンチは私一人が座る幅しか残ってない。

・・・やばい。

座ったはいいけど、近すぎる。

少し動けば先輩にぶつかってしまうような距離。

「なんか話すことないのか??最近悩んでるんだろ?俺でよければ相談のるけど・・・?」

今日はずっと俺様だったのにいきなり優しいとかかっこよすぎて気が狂いそうだよ。

「・・・私、このままマネージャーやっててもいいのかなぁって思って。最近、みんなに助けてもらってばっかだし、それも私が仕事が遅いから迷惑かけて。
先生にもマネージャーとしてなってないって言われるし。」

「なぁ、俺思ってたんだけど、お前ってもてるよな??」

はい??いきなりなんでそんな話になるんだろう。

「だってさ、体もちいせぇし、試合の時は俺らより緊張してるし、終
わったら泣いてるし!?」

「わかりましたわかりました!!意地悪・・・」

「ほっとけねぇんだよなぁ。俺としては、お前がやめてくれた方が心配しなくて済むんだけど・・・」

やっぱり。先輩にとって邪魔な存在なのかな・・・?

「私やっぱりやめた方が・・・」

「お前ってホントにめんどくさい。」

なんで!?今、やめてくれた方がいいって。

「勘違いすんなよ。他の男に手伝ってもらってんの見んのも、他の男に
頑張ってとか言うのもいやだって言ってんの。
俺、お前がずっと前から好きなんだよ。いちいち言わせんなよ。」

!!!!

ずっと前からって・・・///

「・・・私もです。」

「じゃぁ、もう俺のもんだから俺にしか仕事手伝わせんなよ?
それから、やめるとかやめないとかくだらない事考えるより、俺の事考えとけ。」

そう言って私にキスをする。
言葉は乱暴なのにキスは驚くほど優しかった。

すっごい無茶苦茶なこと言ってるけど、痛いほど気持ちが伝わってくる。

ほんとにずるい。

「あと、俺を呼ぶ時は達也(たつや)な??呼んでみ?」

え?いきなり?ほんとに強引だなぁ。

「た、た、た、達也。」

「俺の名前はた、た、た、達也ではないけど?」

ほんとに意地悪。

「・・・達也。///」

瞬間的に耳が真っ赤になるのが分かった。

「・・・ほんとに呼ばれると照れるな。///」

あれ?達也も照れてる?

「ねぇ、私の名前も呼んで?」

意地悪くなってみる。

「・・・お前どこでそんなこと覚えたんだよ。かわいすぎか。」

もう、達也の方が何倍も上を行ってた・・・。

「千佳(ちか)。大好き。」

「・・・私も」

私の心臓の音は達也に聞こえてしまいそうなくらいうるさかった。



~END~