「…先輩、誰か待ってたんですか?」
この状況に耐えられなくなって、口を開く。
「ん〜?なんか後ろから彩チャンの声がする〜って思ったら彩チャンいたから」
「そう…ですか…」
やばい。
心臓が壊れそうだ。
予想外の答えに何の準備もしてなかった頭がついていかない。
どうせまた女の子との約束だと思ってた…
「まあこのあと女の子と約束あるんだけど〜」
あるのかよ。
今のドキドキ返せ。
ほんとに期待を裏切らないっていうか…もちろん悪い意味で。
「待ち合わせ時間もうすぎてるんだけど、彩チャンに最近会ってないなって思ったから〜」
再びドキドキする私の心臓。
落として上げる作戦か何かですか、コレ。
少しでも私に会いたいと思ってくれたのかな…なんて、また期待するようなことを思ってしまった。
それでも嬉しいはずなのに、私はこういうところで素直になれない。
「早く…行ったらどうですか?
待ち合わせしてる子待ってますよ、先輩のこと」
なんて、思ってもない可愛くないことを言ってしまう。