そしてとうとう明日から夏休み。
周りはやっぱりなんだか浮かれ気味だ。
「夏休み中遊ぼうね〜」なんて言いながら、みんなワイワイとはしゃぎながら教室を出ていく。
「彩〜帰ろ!」
気づいたらサクが私のところにもう来ていて、私は慌てて鞄に荷物を詰める。
「ごめん、おまたせ」
「別に大丈夫だよ〜、ほら帰ろ!」
いつも通りの帰り道。
少し違うのはすれ違う学生がみんなどこか楽しそうに見えること。
思えば一人で帰ったとき以来、先輩に会ってないな…なんて思ってたら、
「今『先輩に会えないまま夏休みか』って思ったでしょ!」
「………思ってない」
思ったけど。
なんでわかるの?シンプルに怖いんだけど。
「いま間があったもん!絶対思ってたでしょ〜(笑)」
「だから思ってない!サク、しつこい」
怒るってことは図星じゃん!なんて言っているけど、こうなったら無視するしかない。
「って、噂をすればってやつ〜?
よかったね!彩」
「は?なにが…って…先輩」
いつの間にいたのか分からないけど、私の少し前に先輩がいて、こっちを見ながらニコニコしていた。