「何はしゃいでんだ。菜々」

菜々ちゃんの後ろで、菜々ちゃんの頭を軽く叩く飛鳥。

あ、もしかして終わったのかなぁ………???

「あれ?飛鳥ー???もう終わったの?」

「まだ。つか、今途中。借り物競走が早々早くに終わるかよ?」

「あ、それもそうだね〜。毎っ回、無理難題ばかりだもんね〜!で?飛鳥は何してんのー??」

菜々ちゃんと飛鳥が喋っているのを、私は息を殺してそれを見ていた。

何で息を殺しているのかって??

私にもよく分かんないよ!!!

飛鳥が現れた途端、心拍数も上がって、息苦しくなってきて。

もう目の前がぐるぐるでっ!!!!

これが恋なんかじゃなくって、本当に病気なんじゃないかって思えてくるほどに。

「千郷………?」

「ひゃいっ!?」

ひゃいって……………。

変な声出たー!!!!

飛鳥があまりにも甘くてとろけそうな優しい声で呼ぶから!!!!

な、何か私おかしい!!!

こんなにもドキドキしてるなんて!!

今すぐにでも冷水に飛び込みたいぐらい!!!

穴があったら埋まりたい…………!!!

そんな事をぐるぐると頭の中で考えていると、目の前に手が出された。

その手は飛鳥のもので、一体何事だと思った。

「な、何っ?!」

「千郷。悪いんだけど、一緒に来てくれるか?」

「一緒にって………。別にいい………けど」

私は飛鳥の手の上に、おずおずと自分の手を乗せる。

飛鳥の顔を見ると、やんわりと優しく微笑んでいて、思わず見惚れてしまった。

あ、こんな顔も出来るんだ…………。

ぐっと手に力を入れてきて、一瞬吃驚したけど、改めて見ると……………。

私飛鳥と手繋いでる!??

そこでハッとし、菜々ちゃんの方を見ると、こっちをニヤニヤとしながら見ている菜々ちゃんがいた。

あああああ!!!!

何か急激に恥ずかしくなって来た!!!!

ど、どうしよう!!!!

心の中で一人慌てていると、飛鳥に力強く引っ張られた。

「わっ!!!え?」

「悪い。けど、早く行かねぇと………」

「あ!うん!!」

飛鳥に言われて、私は飛鳥と一緒に走ってゴールへと向かった。