城西高校。

今日から此処が私の新しい学校となる。

担任には初めからクラスは聞いている。

けれど、必ず職員室に来いと言われているので、私は渋々職員室へと向かう。

扉を軽くノックし、開ける。

「失礼します。今日転校の氷鉋です」

大き過ぎず、小さ過ぎない声で職員室にいる全教師に聞こえる声を出す。

やっぱ男の教師が多いな。

「ああ、氷鉋千郷か」

そう言って、1人の男性教師が近付いてきた。

呼び捨てのフルネームで私の名前を言ったこの男は、私のクラスの担任の教師。

確か名前は………。

「大滝拓巳先生」

「大滝でいーよ。んじゃまっ、行きますかー」

そう言うと、大滝先生はずんずんと目的地まで進んで行く。

私はその後ろを小走りで付いて行った。

「にしても、大変だなあ?こーんな時期に転校だなんてよお」

「いえ、別に。慣れてますから」

「そうか。っと、付いたぞ。俺が呼ぶまでちょっと待ってろ」

「はい」

大滝先生は教室へと入って行った。

私のクラスは2-B。

確かこのクラスは、何処かの族がいるとか言ってたような………。

まあ、興味ないや。

そんな事を考えている間に、大滝先生から呼ばれた。

「氷鉋ー、入ってこーい」

「はい」

返事をして、戸を開く。

中に入ると真っ直ぐ大滝先生の隣へと向かった。

「んーと、それじゃあ自己紹介頼むわ」

「はい。初めまして、氷鉋千郷です。よろしくお願いします」

軽くお辞儀をする。

「そんじゃ、氷鉋の席はー。窓際の一番後ろの空いてる席なー」

「はい」

窓際の一番後ろの空いてる席………。

いい感じの席…………では無さそうだな。

私は机に鞄を置き、椅子に座る。