依side






んなこと言われたらなんも言えねぇじゃん。



柚乃ってたまに無自覚天然っぷり発動するから困る。



俺の口説き文句と何一つ変わらないっての。





俺のこと邪魔者扱いするくせに、
なんだかんだ隣にいろって命令するみたいな言葉を遣う。





昔っからそうだ。
アイツが消えてから、
いや、消える前はそこそこだったかな。
消えた後からは、人を求めるような感じだった。
やっぱり、寂しいんだろうな。
感情を表に出さない分、内に秘めているものは多いのだろう。





でも、柚乃は気づかない。
俺が俺だということに。





でも、隣の俺を認識してくれるのは嬉しいことだ。







にやけそうになる顔をコントロールしながら誤魔化すように石英の名残の首飾りの紫水晶(アメジスト)を見つめる。







すると不意に上から声が降ってきた。






「如月くん、霜月さん、あの、これ受け取ったんだけど」



そう言ってクラスメートが差し出したのは一通の手紙。





「え、ラブレター??」




「なわけないだろう。二人宛だ」





爽快な柚乃のツッコミ。
声の主は続ける。




「生徒会からだって。
それじゃあ、私渡したからね?」





それだけ言うと、クラスメートは用事でもあったのか急いで教室を出ていった。





「生徒会って…あの七草が会長のあれだよな〜?」





「そうだな。」





「俺らなんかやらかした?」





その質問に口をパクパクさせながら柚乃が言う。






「気になるなら空けろ。」





いやいや、柚乃さんも気になってますよね?





恐る恐る手紙を開けると、





「如月依、霜月柚乃殿。


あなたたち二人を放課後生徒会室へ



招待いたします。



A.N」




素朴な文面で簡潔に書いてあった。


最後のイニシャルだよな?




「A.Nって誰だ…??」



「知らない。」





「いたずらかな〜〜なんて」





「でも、行ったほうがいい、と思う」





興味津々の柚乃。
珍しく感情表に…出てる…わけでもないか。







こうして、俺らは放課後の生徒会室へと向かうことになった。