あれから3年後




16歳になると十二跡の義務として魔法科高校に入学しなければならない。
高難度の実技と筆記の試験。
まぁ、数字付き-ナンバーズ-にはあまり関係のないことだが。




「………」
初めて学校らしい学校に来た。
寺子屋は、自由に学べるというわけでもないし、何かと制限をつけられて窮屈な毎日だったし。




「なーにニヤけてんの?」







「ニヤけてない。変なこと言うな。」









「でも、楽しそうだぞ?」







「まぁ、楽しみでは…ある」








十二跡から離れられたわけではないが、
ある程度の自由が認められたのだ。
これから普通の生活を楽しめるのだろう。


「素直だねぇ、かーわい」







この男さえいなければ。







こいつは如月依(きらさぎよる)。
ご立派な次期当主&四幹部候補。
私は面倒だから“よる”じゃなく"より"って呼んでるんだけど。







一応、幼馴染みだが、腐れ縁ってやつだ。



「なんであんたまで、第一高校なの?
如月家は第三高校の方が近いだろうに」



「え〜?そりゃまあ、あっちにはアイツがいるし〜こっちにはお前もい…」





「誠一郎か?仲良いんだろ依?」






「まあそーなんだけど…やっぱさ、四幹部の子供が偏ってても変じゃん?!ニ対ニになったわけだし丁度いいじゃん?家もこの辺に引っ越したし」







第三高校には依と仲が良い皐月誠一郎(さつきせいいちろう)と弥生雛(やよいひな)が通うことになっている。







「そういうものか…」
どこか引っかかるがそれは今はいい。




心地いい風に吹かれ、肩に花が刻まれたブレザーが揺れる。
そして、私の腕飾りには石英の名残である数字石…黄玉(トパーズ)が光る。




新しい生活が始まるんだ。