「そんな秘密が……」

全てを聞いた翠は動揺を隠せずにいた。

「じゃあ、十二跡の弱体化は如月のせいじゃなくて、十二跡全体のせいだった…のか?」




「そ〜〜ゆこと」


「そっか…そうなのか…」





「信じるのか?」

私は咄嗟に言葉を紡いだ。
その禁忌は本当だが、私たちが嘘をついていない確証はない。
都合の良い話をでっち上げているかもしれないのに。


「柚乃…」



「信じるよ。根拠なんてもんはねぇけど。」

翠は、もとの口調に戻った。

「それに……



なんか如月依の話し方っていうか、
声とかは全然ちげぇし、雰囲気も違うけど、何処と無く………誠一郎様に似てる………から」




「?!?!」




「ふっ…よかったな依。」



「別に嬉しくないし〜〜」

そんなことを言いながら、依は照れて頭をかく。





「てか、まだ解決してねぇぞ!
霜月の方はどうなんだ?!」




「………」
私はそれに答えず、考えを巡らす。
数年前…?
石英を所持していた記録はないし、
それなら私も見かけていたはずだ。





私は、そんなの聞いたことがない。
なぜ?どうして?
いや、その話が本当だとは限らない。
でももし事実だったら?
それはもしかして涼が死んだことと何か関係があるのか?
そしたら、なぜ…


「ゆ〜〜の」


ポンっと頭を叩かれる。




「なっ……にする」


「今、いろいろ考えてたでしょ〜〜?」


「……………」
心のうちを見透かされたみたいで
気分が悪い。



そんな私を見て、依が今までにないくらいとびきりの笑顔で翠に問いかけた。



「その話、誰から聞いたの〜〜?」


「うっ…教えな」

「誰から聞いたの〜〜?」




依の笑顔の圧。
それに根負けしたようで、




「これ、内緒な?言うなよ?」


「わかってるよ〜〜」





「…………長月碧って人」






聞き覚えのある名前に私は驚いた。
隣にいる依の顔を見ると、
彼は…………至って冷静だった。
笑顔も失ってはいない。






でも、その笑顔すら、、、
直視できないほど奇妙だった。

私には彼がその表情をした意味がわからなかった。
いや、わかろうとしなかった。
見間違いだとさえ思った。