生徒会室の一件から数日が経とうとしている。


あの日以来、長月碧は私たちと廊下ですれ違ったり、たまたま出くわしたりすると私の神経を逆撫ですることばかりを言ってくる。






その度、口論になりかけて依が止めるという循環をしている。




長月碧………気に入らない。
私の反応を面白がってる性悪男なのか
何か裏があって、話しかけてくるのか。






こいつに会うようになってから、依もなんか萎縮しているような、何かを恐れているようで、面白くない。





私は自由な学校生活を送りたいだけなのに。







ただもう一つ気掛かりなことがある…






















「依、好きだ」

一生に一度言うか言わないかのセリフを口にする。



「俺もだよ〜柚乃」



そう答える依が私を強く抱き寄せる。
最早お互いに物理的な距離はない。



「柚乃の隣にずっと居ていいのかな〜?」


「もちろん」




そうして私たちは微笑み合い、
唇と唇をーーーーーー

















「気配が消えた」


「そうみたいだね」


「全く、見られていることはわかるのに位置を掴ませないなんて厄介なやつだ」


「それにしても迫真の演技だね〜〜」







私たちは別に愛を囁き合う仲になった訳ではない。
近日、何者からか視線を感じるようになったのだ。
その視線にはすぐに気づけたのだが、どこから見られているのかは特定できず、対処の仕様がなくなり、最終的にこの茶番劇を講じざる負えなくなったのだ。




「はあ…下らないことをしたものだ」





「俺は楽しかったけどね〜〜
もうちょっとで柚乃とキ…」



「なんか言ったか?」



「何にもないよ〜〜

にしても、多分この程度で引いたってことは俺らと同世代のやつかな」




「見られる場所も廊下や体育時、登下校の時間のみで、家や教室では視線を感じないから、きっと学校関係者じゃない。
それに、遠いな。」




「ん〜〜別に放って置いてもいいんだけど…」


「ふざけるな、知らない奴に見られて気分がいいわけないだろ、突き止めてやめさせる」



「言うと思ってました〜

てか、俺に危機感とかないわけ?」




「なんのだ?」



「男としての」



「…ない」



「うん、聞かなきゃよかった〜〜」




また、楽しそうに依はからかう。
ホント、おめでたい頭だ。


「しょうがない、下校時にでも誘き寄せてみるか」



「そーだねー」





私たちは謎の視線の正体を突き止めるために放課後、学校近くの公園へ行くことにした。