時は流れあの中学は卒業した。誰も友達は居なかったから卒業アルバムの裏に寄せ書きなんかなかった。



高校生になってあの時の思いをしたくない私は喋らない方がいいと思った。


関わりがなければ敵意を剥き出しにされることはない。


窓辺の桜が散るのをただ見ていた。



相変わらずあの女とは仲が悪い。暴力なんて慣れて抵抗もしなくなった。結婚できないと諦めて出て行けばいいのに。



でもこれ以上の不幸はないと思った。中学も毎日毎日耐えた。でも卒業したら終わるんだって自分に言い聞かせてたら高校生だ。だからこの女の件もそろそろ終わるんじゃないかって





パパもいつかはこの女が悪い奴だってわかってくれるはずだって。



「依織話がある。」



ただならぬ雰囲気のパパが家を帰った矢先の私にそう告げた。



「ママと一緒に〇〇街に引っ越して欲しい」

「パパは?」

「パパは仕事だからここに残らなきゃいけないんだ」

「じゃあ私もここに居る」

「え?ママから聞いたぞ?一人暮らししたいって」

「え、じゃあなんでママと一緒に?」

「なんでも依織の世話をしたいんだそうだ。パパは二人があまり仲良くないんだと疑ってたがそうじゃないんだな。」



引っ越す...?私をついに追いやるつもりね。



「違う違うよ。一人暮らしなんかしたくない」

「もう立派な高校生だ社会勉強として俺は賛同した」




もうなにを言ってもダメだ...


それにあの女は来ないだろう。


世話なんて嘘だ。早く二人きりになって...そして子供を作り責任とってと言うつもりだろう。


私が邪魔なだけだ。