依織は下手だったが俺よりも飛ばせるようになった。
「私の勝ち!」
無邪気に笑う彼女は知らないだろう。
その太陽の下で笑う依織は俺に向けられたものでその度に俺の心臓が跳ねていることを。
学校では見せないその笑顔は俺だけのものであって欲しいと願うようになった。
「もう帰るか」
「もう終わってるかな」
「そうかもな」
夏帆が通るかもしれないと待っていたが夏帆は先に帰っていた。
家で余ったお裾分けを俺の家に届けてにきたらしく夏帆が居た。
「声かけてくれれば良かったのに」
「先に帰ってると思ってた。」
「依織と来るかもしれないって待ってたのに」
「呼び捨てする仲になったんだ」
「ああ、うん。」
「ずるい」
「依織って私も呼びたい」と夏帆が言うのは珍しい。
基本友達なんか作ろうとしないのに、夏帆と依織はその辺が似ている。似ているからこそそう感じたのかもしれない。同じ匂いがすると同じ匂いは喧嘩しない。

