♪♪♪
めったに鳴らない携帯が震える。
誰だろ。こんな遅くに。
時計を見ると12時を回っていた。
洋子かな。今日、合コンとか言ってたからなんかあったのかも。
私は合コンとかで出会った人とは付気合わないと決めている。だから、誘われてもいかない。
ー夜分遅くにすみません。明日って空いてますか??ー
メールは辻くんからだった。
あの後、強引な洋子のわがままを聞いてくれて私にまでメアドを教えてくれた。
でも、どうしたんだろう。
ー空いてますよ。どうかしましたか??ー
メールの返信はすぐに帰ってきた。
ーよかった。課題の事相談したくて。ー
なんだ。びっくりした…?あれ?なんで私残念に思ってるんだろう。
ーはい。どこに行けばいいですか?ー
ー3時に大学の高野坂でお願いします。ー
ーわかりました。ー
昨日あった人から誘われるとかそんなのないに決まってるのに。期待していた私がバカだ。
[翌日]
「こっちです。こっち!」
時間よりも5分早くついたのにもう辻くんはいた。
「あれ?なんか軽装なんだね。」
「あー。そっか。何にも持ってこなくていいって言ってなかったですね。実は課題って嘘です。」
へ!?わざわざリュックで来たのに…
「持ちますよ?」
「いや、いいですよ。」
グイッと私からリュックを取って続ける。
「と言うか、俺らってタメですよね。敬語おかしくない?」
「そーだね…」
なんか拓海と喋ってるみたいで緊張する。
拓海も緊張する私に笑顔で話しかけてくれて仲良くなったんだっけ。
ほんとに似てるなぁ。
「どうしたの?いこ?」
「え?どこに??」
「連れて行きたいカフェがあるんだよね。」
「でも…」
「俺が行きたいの。友達のわがまま聞いて欲しいな。」
…そうゆう関係じゃないし。って言おうとしたら心を読まれてるみたいに思ってることを当てられてしまう。
「う、うん。」
とは言ったものの…なにも喋れないまま強がって頼んだコーヒーだけが減っていく。
「ねぇ。あのさ、俺、もっと月白(つきしろ)さんのこと知りたい。」
え?
私はそのまま固まる。
「私の話ししたってつまんないから、いいよ。」
「じゃぁ、質問に答えて?」
「じゃぁ、1問目…」
うんと言う前から質問し始める。こうゆう強引なところも似てる…
「…月白さんはどんな人がタイプ??」
へ?そんなこと聞いてどうするのだろうと思いつつ考え始める。
どんな人がタイプとか考えたことなかった。今まで好きになった人も好きになってからこうゆうところが好きだとか考えてたから…
「うーん。あんまり考えたことなかったけど…」
「じゃぁ、好きになった人がタイプって感じだ。」
「う、うん。まぁ、そんな感じかな。」
「じゃぁ、2問目…」
その後、7問続き、
「じゃぁ、最後、10問目!ズバリ、今、好きな人いるの?」
突拍子もない質問で少し驚く。
でも、一瞬だけほんの一瞬だけ拓海の顔が出てきた。
「…いない…けど…」
「欲しいと思う?」
「まぁ、そりゃぁ、それなりには。」
「じゃぁ、立候補しちゃおうかな。」
え?こんなイケメンで今日だってちゃんと質問も私のことを気づかってしてくれた。気にならないって言ったら嘘になるけど、早くないかな…
「まぁ、一昨日初めてあったやつにそんなこと言われてもだよね。まぁ、実際初めてではないけど…」
へ?
「あーいや、なんでもない。まぁ、考えといてね。」
…どうしたんだろう。少しだけ寂しそうな顔をした気がする。
「じゃぁ、遅くなっちゃったから行こっか。」
窓の外を見るともう暗くなり始めていた。
送ってくれると言うのを断りきれなくてトボトボと歩く。
「辻くんはさ、す、好きな人とか、いないの??」
やばっ!聞いちゃった…
「!?…んーいるよ。」
「そ、そーなんだ…」
なんだ。いるんじゃん。
「あれ?今、がっかりした?」
「し、してないよ!」
「えー。残念…」
危なかったぁ。でも、好きな人いるのに私なんかとこうしててもいいのかな。
「もう、ここでいいから。」
家までは後500メートルくらいのところで立ち止まる。
「え、家の前まで送るよ。」
「い、いや、辻くんが帰るの遅くなっちゃうから。」
そんなの言い訳で本当はもっと一緒にいたかった。でも、私のわがままで辻くんの帰りが遅くなるもの嫌だった。
「じゃぁ…」
ぎゅ
え?
突然視界が揺れて目の前が辻くんの広い胸で塞がれる。
「今日は付き合ってくれてありがとう。」
耳元でささやいた辻くんの声がとても寂しそうで抱きしめ返したくなった。
「つ、じくん…」
「ご、ごめん…俺、やっぱり、月白さんのこと好きだ。」
え、え、え?
「だ、だって、辻くん、好きな人いるんじゃ…
「だから、それが月白さんなんだってば。」
えええー!
でも、それを聞いて私の心臓は飛び出るほど高鳴っていた。
「う、うん。」
「うんってことは…」
「うん。私も辻くんのこと好きだよ。」
「え!?ほ、ほんと!?」
「うん…」
びっくりした顔で私の顔を覗き込む辻くんの顔が可愛くてクスッと笑う。
「なんで笑うの。」
「だって、なんか、可愛くて…」
「ずるいよ。そっちの方が可愛いのに。」
…///今までこんなこと言われたことなくて、拓海に似てるけど、拓海とは違う優しさを持ってる。
「月白美月さん。俺と付き合ってください!」
突然の告白にもかかわらず私の全身ははいと言えと命令してる。
「はい…よろしくお願いします。」

これが洋平と私の出会ってから付き合うまでの経緯だった。その後は本当に楽しくてたまらない日が続いた。