私の怒りに近藤さんが
「すまなかった、嫌な思いをさせたね。」
と言って手を伸ばし私の頭をそっと撫でてくる。
近藤さん!と土方さんが怒った表情を浮かべたが近藤さんは首を横にふった。
「この子は阿古屋の人だよ、歳。私の直感がそう告げてる。なあ山南さん?」
「……そうですね。昨日のあの紅白の着物に菊の花。確かに天皇のための一族と考えるが正しいと思います。」
「山南さんまで……」
土方さんはまだ信じられないよう。
別にこの人に信じて欲しいなんて思ってない。
でも、頭を撫でられたからか。
少し落ち着きを取り戻した私はもう大丈夫ですと近藤さんから離れた。
「大丈夫かい?すまない、考えなしに言ってしまって」
「いえ、もう平気ですから。ありがとうございます」
この人は、本当に局長なのかしら。
局長といえばもう少し厳しくてもいいだろうけど。
土方さんの方が普通なのか、この人が普通なのか。
わからなくなってきた。
空気が若干柔らかくなったところで山南さんがあ、と私をみた。
「あなたの名前聞いてませんでしたね」
「そういえばそうだったなあ。名前はなんというんだい?」
いつのまにか敬語を忘れた近藤さんに問われ私は名前を名乗った。
まあ、私なんかに敬語なんて使わなくてもいいけれど。
「……阿古屋 おとです。怪我の手当て、ありがとうございます」
怪我の手当てもしてもらったのに礼をまだ言ってないことを思いだし私は礼もついでに伸べた。
