詮議の部屋まで来ると山崎さんは部屋の中の主に声をかけた。

「副長、山崎です」

「……入れ」

低い声に思わず震える。
震える私にお構いなしに山崎さんは失礼しますと言って襖を開けた。
開ければ部屋の空気が重いものに変わる。

詮議ってこんなに空気が重いの?
それはそうか、私は怪しいんだから。

そんな重い部屋のなかには三人の男たちがいた。

「下ろすで」

山崎さんにそう言われ下ろされた私は縄まではされなかったけど局長と副長の前に座らされた。

私が顔をあげれば真ん中にいる、多分局長さんの左隣の人と目があう。

そのみてくる視線があまりに怖くて身体が怖ばった。
それに気づいたのか右隣の人が左隣の人とは真逆の柔らかな笑みを浮かべて土方くんと名を呼んだ。

「なんだよ、山南さん」

「いけませんよ、あまり怖がらせては。すみません怖がらせて」

「いえ……」

山南さんという人が注意すれば土方さんは舌打ち。
この人、性格悪そうなんて思いながら局長であろう真ん中に座る人に目を向けた。

私が目を向けるとその人は申し訳なさそうな表情をする。

「まだ怪我が治りきってないのに、すまないね」

「……大丈夫です。あなたは?」

局長であろうことはわかるけど、名前までは知らない。

だから私は彼に名前をたずねた。

恰幅のよさそうな人なつこい笑みを浮かべた彼は微笑みこう名乗る。

「私は新撰組局長、近藤勇です。あなたは、阿古屋一族の末端の方なそうですね」

「はい。私は阿古屋一族の末端です」

私が頷けば三人は顔を見合わせる。