新撰組。

聞いたことがある。
最近幕府によって京の治安維持のために結成されたのだとか。

でも実際は人を殺したりするだけの組織だとも言われているけれど。

「……言うとくけどあんたが想像するような新撰組やないからな、ここは。」

「……」

そう言われても実際の新撰組を見ていないから私はわからないけれど。

青年ー山崎さんは、ふうと息を吐くとさて行くかと私をみた。

「行くって何処へ?」

「詮議や。あんたが目を覚ましたら連れてくるように局長と副長に言われてんねん。まさか来ないとは言わへんな?」

「行きますよ?もちろん。疑われては困りますし……私は阿古屋の娘です」

ぐ、と力をいれて立ち上がる。
だが力が入らずにぐらりと身体は傾いた。

それを山崎さんに支えられる。

「……ぁ、」

「ったく。ほら、背中乗りぃ。そんなんやったらちゃんと歩けんやろが」

「ありがとう……ございます」

私はおずおずとその背中に乗る。
なんなんだろう。
厳しかったり優しかったり。

私はまたひとつ増えた疑問を思いながら部屋に向かった。