「………っ」
痛い。
身体中が痛い。
火傷が雪に染みて痛い。
あまりに痛くて張り裂けそう。
私はどうして生き延びたの?
訳がわからない。
こんな状態で生きても、きっともうあの方の元で弾くことは叶わない。
あの方の元で音を奏でられる時がようやく来たのだと嬉しくてたまらなかったのに。
ぼんやりと視界が揺らぎ涙があふれて。
私はただ泣いた。
そして真っ暗になっていく視界のなかで手を伸ばす。
意識を失う中で私はある人の名を呼んだ。
「天主、さまっ………!」
まさかその呟きが誰かに聞かれていたことなど、少女は気づかないー