「そんな、贅沢言わないなんて……言ってもいいんだぜ?おとんとこの食事と比べたら質素なのに」
「いえ、本当に美味しいです。こんなにあたたかいの初めてだから嬉しい」
にこりと笑えば、藤堂さんはならいいんだけど……と複雑そうな顔をしていたけれどようやく笑ってくれた。
それからしばらく無言で食べてごちそうさまをする。
「ごちそうさまでした、ありがとうございます。作ってくれた方にお礼伝えてもらえますか?美味しかったと」
「ああ、伝えとく。なあ、山崎くんと一くんのこと……おとはどう思ってる?」
「え?あ……」
私は藤堂さんをみた。
藤堂さんは複雑そうな顔をしている。
それで私は悟る。
ああ、このひとは……ふたりが私に対して言った言葉を知ってるんだ。
だから当事者の私に聞くんだろう。
複雑そうな顔のまま藤堂さんはこう言った。
「俺はさ、おと。ここに住むからには山崎くんや一くんといい関係にならなきゃダメなんじゃないかって思うんだ」
「………」
「だって、気まずいままなんて嫌だろ?山崎くんはまだなんとかなるけど、あの女嫌いの一くんを認めさせるのは半端な覚悟じゃだめだと思う」
藤堂さんの言葉で思うのだけど……なぜ、斎藤さんは女嫌いなの?
聞こうか迷ったけれど、私は聞いてみることにした。
「あの、」
「ん?」
「どうして斎藤さんは女嫌いなんですか?」
