浅葱の音がきこえる





「とりあえず後は藤堂組長と井上組長と斎藤組長やな。藤堂組長は巡察やから後でいいとして、井上組長は台所おるはずや。行くで。」

「は、はい。あの……斎藤さん、は?」

私が訊ねれば山崎さんはあー、と複雑そうな顔をした。
あれ、聞いたらまずかったのかな…
そう思っていると、

「山崎。なんで女人禁制で女がここにいる」

「斎藤組長……」

「えっ」

目の前に気づいたら斎藤さんらしき、というか斎藤さんがいた。

斎藤さんは私を睨みながら山崎さんにこう聞いてくる。
というかここ、女人禁制なの?
そういえば確か土方さんも女人禁制だって……。

「もう一度聞くぞ山崎。なぜ、ここに女がいる?」

「昨日怪我をして帰ってきた彼女ですよ。悪い者ではなかったようなんで、近藤局長が帰る場所がないなら住めと」

「住む?冗談じゃない……。こんな怪しい輩を。局長に聞いてくる」

斎藤さんはここで待っていろ、と険しい顔で歩いていってしまう。
はあ、と面倒くさそうにため息をつく山崎さん。

私、斎藤さんに嫌われてる?

怪しいのはそりゃ、怪しいけど……。

「あの、斎藤さんって「斎藤組長は女嫌いや」

「えっ、」

女嫌い?

私は首をかしげた。

するとそうだよ、と誰かに言われて私と山崎さんが振り返ればそこには斎藤さんとはうって変わった温厚そうな人がいた。