無言で山崎さんについて歩く。

山崎さんはここが、とある部屋の前にきた。

「ここがお前の部屋や。左隣がワイ、右隣が沖田組長の部屋」

「沖田組長……?「あれ、山崎くん。何、昨日の子結局入るの?」

会話が聞こえたのか右隣の部屋から青年……美青年が現れた。
その青年は女の人みたいに綺麗な顔をしていて、思わず息を呑む。

「ええ、そのようです。いずれ話が出ると思いますが。彼女はおとといいます」

ほら、と言われて前にだされた。
阿古屋のことを口にはしなかったというと山崎さんは話すなと言うことだろうか。

私は軽く頭をさげる。

「おとです。よろしくお願い致します」

「ふぅん、おとちゃんか。僕は沖田総司。よろしく。ね、おとちゃんって剣術してる?」

「え?」

剣術?なんで?
訳がわからなくて、私は首をかしげる。

「いや、手がね剣術してるように見えたから」

「………音楽ならしてましたけど」

「そう、なら僕の勘違いかな。山崎くんは案内?」

山崎さんは沖田さんに問われてはい、とうなずいた。
ならよろしくねと沖田さんは笑み部屋に戻る。

(「いったい、何なのかしら……」)

私のこと探ろうとしてたよね。

下手に嘘ついたら気づかれそうで音楽をしてましたって言ったけど。
山崎さんをちらりとみれば、険しい顔をしていてそれがなんだか怖く感じた。