「おとさん、良かったらここに住まないかな?」
「えっ、でも……」
「それは名案ですね。おとさんが良かったらぜひ、ここで暮らしてください。ね?」
なんだろう。
この、優しすぎる違和感。
本当にいいのかしら。
土方さんは好きにしてくれと投げやりな感じ。
よくわからないな。
山崎さんをみれば、山崎さんも頷いてくる。
きっと私は厄介なのに。
そもそも阿古屋が天主さまを裏切ったこと自体、非常に面倒くさいことなのに。
どうして私なんかを。
私はあの、と近藤さんに声をかけた。
「ん?」
「本当にいいのですか。私なんかがここに住んでご迷惑になりませんか、遊郭にいった方が……」
「とんでもない!その方がもし天主さまが君を迎えにでもきたりした時、申し訳ないし……なんだかほっとけないんだ、おとさんのこと。娘のようでね……」
娘。
その言葉に不覚にも泣きそうになる。
私はただの厄介にしかならないのに。
天主さまは阿古屋の生き残りを探してくださるだろうか。
探してくださっているだろうか。
思えばここなら天主さまも気付きやすいかもしれない。
私は頭をさげた。
「……私で、良かったら。よろしくお願い致します」
新撰組での生活が、始まるー
