ツンデレ王子と溺愛同居してみたら。






「やだ。返さない」




ひょい、とあたしのスマホを上に持ち上げたからあたしは取り返そうと手を伸ばすけど、身長が高い彼には敵わない。




「い、意味わかんない…!」




それでも、必死に手を伸ばしていると


いきなり、ふぅちゃんが伸ばしていたあたしの手をグッ、と軽く掴んだ。




「なぁ…アイツのこと、好きなの?」




彼の心地いい低い声が耳に届き、体が甘く痺れる。


サラサラの前髪の間から彼の綺麗な瞳を覗かせて、あたしの目をしっかりととらえて離さない。



その瞳はやけに色っぽくてドクンッ!と大きく胸が高鳴る。



ふぅちゃんに掴まれている腕の部分がジンジンと熱くなっていき、そのせいかどんどん速くなっていく鼓動に頭がクラクラする。




「す、好きって…誰が誰を?」



ドキドキしているのがバレないように必死に平然を装うけど、絶対できてない。



だって、あたし……言葉カミカミだし。



それに、あたしこんなこと聞かれるなんて思ってなかったし。



てっきり、アッカンベーしたことがバレてたんだと思ってたから。




「…お前が井原のことを」



あ、あたしがケンケンを……?



そういえば、さっき果歩との話を聞いてならケンケンと付き合えばいいという果歩の変な提案を聞いていたのかもしれない。




でも……なんでふぅちゃんがそんなこと気にしてるの?





「す、好きじゃないよ…!ケンケンは友達だから!!」




「ほんとに?嘘じゃない?」




急に弱々しくなるふぅちゃんにますます鼓動が速くなる。


そんな反応…せこいから。



反則だよ、反則。




「う、うん…!だから、早く返して?」




もう…いつまでもこんなの耐えられない…!!


そのうち、心臓がドキドキしすぎて破裂しそう…っ!!