「いやいや、遠慮しとくよ。
真心には井原くんがいるからね。」
「なんでケンケンがでてくるのさ」
あたしとケンケンはただのクラスメイトじゃん。
「そのうち好きになるよ」
ニヤニヤ、と頬を緩めながらいう果歩を軽く睨む。
「だーから、なんでそうなるの。あたしとケンケンは友達じゃん」
「もうさ、真心。そろそろ恋したほうがいいよ?」
「やだよ〜」
果歩はあたしの先の未来を心配して言ってくれてるんだろうけど、やっぱり男の人のことは好きになれないな。
「もうっ!井原くんなら絶対幸せにしてくれるって!」
しびれを切らしたようにあたしの肩を強く叩く果歩はさっきの弱々しい様子とはまるで違う。
「それはなんとも言えないけどさ〜」
確かに彼氏にするなら、あーいう人がいいけど。
「ほら、分かってんじゃん!!」
それから、一時間ほどみっちりとケンケンとの恋愛のことを語られた。



