「で…?どうしたの?」




本当は部屋で話したいんだけど、
今のあたしの部屋になんか入れたら異変に気づかれる。



ベッドはないし、果歩たちの部屋とは全然違うし。


その部屋を使ってるのはふぅちゃんなのだから。



「……泰人と別れるかも」




静かなリビングに響いたのは震えた果歩の声。


彼女の瞳からは今にも雫がこぼれ落ちそうだ。




「果歩、なんでそう思うの?」



「あたし…見ちゃったの。
あの女の先輩が泰人と仲良さげに部屋に入ってくところ…。」




そういった時にはもう彼女の瞳からは大量の雫がこぼれ落ちていた。




「そ、れで…あたし怖くて……。
泰人に別れようって言われるんじゃないかって思ったら泰人のこと避けちゃって…」




泣きじゃくる果歩の背中を優しくさする。




「そうだよね。そりゃあ怖くなるし不安にもなるよね」



「…うぅ…ぐすっ…」




「でもね、果歩。
本当のことは泰人先輩に聞かなきゃ分かんないよ?

怖くてもちゃんと自分の気持ちを伝えることが大事だと思うよ。
二人なら、きっと乗り越えられるよ…」





怖くても勇気を持って聞いてみなきゃ、お互いの気持ちはいつまで経っても分からないままだから。


もしかしたら、誤解しているだけなのかもしれない。


誤解したまま、終わるなんてことは一番嫌なパターンだから。