「んじゃあ、さっそく行こっか」




まあ、何とかなるでしょ。



そう思い、人が少なくなってきた教室から出た。



半泣き状態の果歩を連れて部屋の前まで来たのはいいけど……


どうしようか?



今部屋に入れれば、同居のことが果歩にバレてしまう。



そうなったら、あたしたちは退学だ。



それだけは避けたい……。




「ごめん!果歩!
部屋散らかってるからちょっとだけ待ってて!」




考えに考え抜いた結果、こんな言葉しか出なかった。



あたしがそういって荒々しく扉を開けて入っていくのを果歩はポカーン、としながら見ていた。



あたしは基本部屋とかは綺麗にしてるタイプだから果歩は“珍しいな”って思ってるんだろうなぁ。




「ふぅちゃん!!大変!!」




慌てて部屋に入ると、思った通りふぅちゃんはいつものようにソファに座り、読書をしていた。



でも、いつもと違うのはイヤホンを付けていること。



なんでこんなときに限ってイヤホンなんて付けてんのよ…!!




そのせいで、あたしの声は彼の耳には届いてないみたい。




「ふぅちゃんってば…!!」




彼の体を揺すりながら、左耳のイヤホンを外す。


すると、彼は心底不愉快そうな表情をあたしに向ける。



「…んだよ。うるせぇな」




「違うんだってば…!今すぐ自分の部屋に行って!それであたしがいいって言うまで部屋から出ないで!」




「いきなりで悪いけど、お願い!!」




あたしはマシンガンのように次から次へと言葉を発する。