「まあ、入ってなくはないけど」
ケンケンは優しいし、気まずくならないように話題を作って話してくれるし、何より無邪気でフレンドリーだから。
クールな人が苦手なあたしにとっては恋愛対象外な訳でない。
「ほら、やっぱり!なら今がチャンス!」
なんか、通販ショップみたいなノリで言わないでよ!と心の中でツッコミをいれる。
「そうそう!井原くんと真心ちゃんお似合いだよ!」
げっ…京香ちゃんまで…。
迫られても困るんですけど……。
「それとも、他に気になる人でもいるの?」
果歩の言葉にドクンッ!と心臓が過敏に反応した。
いやいや…そんな人いないのになんでこんなに反応しちゃうわけ?
なんか、それじゃあたしが誰かを気になってるみたいになるじゃん。
「いないよ。でも、恋は落ちるもんでしょ?」
無理やり好きになっても無駄だと思うんだけど…。
それは結果悲しい別れに繋がるだけ。
「まあ、それはそうだね。
いい人見つけたら即報告だかんねーっ!」
「わ、私にも…教えてほしいな!」
「わかったわかった。ちゃんと教えるから」
「絶対だよ?絶対のぜーったい!」
「分かったから、果歩。ほら、二人とも次のところ行こ?」
なんとか、それから話は逸れてあたしはケンケンとのことを触れられずに帰りのバスに乗る時刻となった。



