「今じゃなきゃダメ?俺…マコマコといたいんだけど」
なんとも、どストレートなケンケンの言葉に少しだけドキッとした。
ケンケンの顔はほんのりと赤い気もする。
「あ…うん。分かった」
あたしがそう言うと、一気に口の端が斜めに上がり、白い歯を見せて綺麗な笑顔を作る。
無邪気だな……ケンケンは。
ふぅちゃんとはまるで違う。
彼が笑ったところなんて滅多に見たことがない。
感情もケンケンみたいにすぐに表に出さずにいつも冷静だし、
言葉だってどストレートなんかじゃなくていつだって言葉が一、二個抜けてて不器用な伝え方なんだよね。
って…あたしなんでふぅちゃんのことなんか考えてんのさ。
マジであたしさっきのふぅちゃんに惑われされすぎだから。
ちゃんと、いつも通りに戻さなきゃ…そう思うのにまださっきの余韻からなかなか抜け出すことが出来ない。
「真心!」
「真心ちゃん!」
ケンケンがふぅちゃんたちのところに行った隙に果歩と京香ちゃんが声を掛けてくれた。
「いい感じじゃん!井原くんと!」
「私もそう思うよ…!」
「二人とも、ニヤニヤし過ぎだから。
んでもって、いい感じでもないからね」
あたしとケンケンがいい感じ?
今日、友達になったばっかなのに?
あたしはまだまだケンケンのこと知らないし、これからも友達として知っていけたらな、とは思ってる。
「なんでよ〜!いいじゃん!井原くん!フレンドリーだし、真心のタイプにも入ってそうだし!」
果歩はここぞとばかりにグイグイとケンケンのことを勧めてくる。
いや…そんなに勧められても…ね?



