ぎゅっ、と強くシャツの裾を握ると、
「大丈夫…もし、またはぐれても俺が見つけてやるから」なんてありえないぐらい優しい顔していうからもうドキドキは最高潮だ。
ふぅちゃんは一体どうしたんだろ?
なんか、いつも何考えてるのかわかんないけど今日は特に読めない。
コクン、と一度だけ頷けば彼は満足そうに微笑んでまた前を向いた。
顔がいいから…ドキドキしてるんだってば。
絶対そうだ。
第一、あたしはふぅちゃんのこと正直苦手だし。
なのに、ときめいてしまうのはきっと顔がカッコイイから。
必死に自分に言い聞かせていると「マコマコっ!」「真心〜っ!!」なんて声が聞こえてきて
下げていた視線をあげると視界にあたしとふぅちゃん以外の班メンバーが入った。
とっさに掴んでいたふぅちゃんのシャツの裾から手を離した。
「真心のバカ!ほんとに心配したんだからね!」
そう言ってあたしの肩をバシバシと強く叩く果歩の大きな瞳にはうっすらと涙が溜まっていた。
隣にいる京香ちゃんも安堵に満ちた表情をしている。



