「勝手に仲良くなってんじゃねぇよ」



その声が聞こえてきたと同時におでこに鋭い痛みがはしる。



だけど、鼓動がだんだん速くなっていき顔もぽっ、と赤くなるのが分かった。




「い、いったぁー!何もデコピンしなくていいじゃん!」




本当は胸のドキドキのせいで痛さなんて全く気にならないけど、一応おでこを両手で抑える。



大丈夫、大丈夫。



相手は有村くんだから…と何回も心に言い聞かせて平常心を保つけど、なかなか胸のときめきは収まらない。




「お前が悪い。…アイツのことケンケンとか呼ぶから」




「え?」




いきなり、顔を背けていじけた様子の彼を見てあたしは目をぱちくりとさせる。



だって、あの有村くんがこんな態度するなんて…。




「俺のことはいつまでも“有村くん”のくせに」




「えっ…」




なんか、拗ねてません?


いつもの無愛想な感じと違ってめちゃくちゃ可愛く見えるんですけど。




「俺のことも…名前で呼べよ。真心」




───…ドクンッ!



ただ、名前を呼ばれただけなのにあたしの胸は大きく高鳴った。



あたし、やばいよ?



なに、有村くん相手にときめいちゃってんの。